潜在意識にアプローチする心理療法ってどんなもの?

潜在意識は記憶・感情・想像などの役割をし、私たちの意識の8~9割を占めるとされています。一方、私たちが通常使っている顕在意識(論理的思考・判断などを司ります)は1割を占めるにすぎません。意識の大部分をしめているうえに、人は感情・記憶に苦しむことを考え合わせると、感情・記憶を司っている潜在意識に働きかけることは有効かつ短期間での治療をも可能にする療法といえます。

当院では、潜在意識にアプローチするために催眠を利用しています(催眠療法=ヒプノセラピー)。これは潜在意識が優位となった状態でのイメージ体験を主な手段とする心理療法であり「イメージ療法」と言ってもよいでしょう。また、他人(セラピスト)の手を借りずに、自分で潜在意識に入る方法もあります。マインドフルネスをはじめとする瞑想法・ヨガ・座禅等がこれに相当し、このような方法も「潜在意識にアプローチする心理療法」と位置づけることができるでしょう。

催眠と聞いただけで誰かに操られるのではないかなどと心配される方もいらっしゃるでしょうが、当院で行っているヒプノセラピー・退行療法はセラピストが解決法を教えるのではなく、クライアントご自身が、自らの潜在意識から気づきを引き出すお手伝いをするものです。顕在意識で考えて解決できないことであっても、催眠を利用して潜在意識に入れば、なんらかのヒントが得られるものです。他人からのお仕着せではない、自分で気づいた答えには大きな力が宿っています。

また、当院では病の根本原因の心理的な側面を癒やし、ストレスを軽減するリラクゼーションのやり方を身につけることで自己治癒力を最大限に引き出すお手伝いも行っています。「心身一如」という言葉が示す通り、心と身体は相関しています。心が身体に及ぼす影響は計り知れません(逆もまたしかり、身体は心に影響します)。生体には本来、それ自体に正常なバランスに戻ろう、正常な状態になろうとする機能が備わっています。催眠に入ると、その自然な自己治癒の力が発揮しやすくなります。精神的なストレスで悪化するような病気・症状をお持ちの方、ご相談下さい。

注意:前述の通り、すべての催眠は自己催眠であり、催眠療法を受けにいらっしゃった方はセラピストの誘導で催眠に入りますが、深い催眠に入った後は、その方の潜在意識にお任せのモードに入ります。その方にとって、今、最も優先して確認する必要のあるもの・記憶に潜在意識は導いてくれます。潜在意識は今、その方に受け止められるものを順番にだしてきてくれる、ということでもあります。セラピストがむりやり蓋をこじあけるわけではないので、心理的な危機を招くこともなく安全に行えるという利点があります。前世療法を希望して来院された場合でも年齢退行療法になる場合がありますし、年齢退行療法を希望していても前世療法になる場合があります、ご了承下さい。

催眠状態は私たちだれもが毎日、経験している状態です。映画や読書・スポーツ等に夢中になっている状態・自宅の近くまできてほとんど無意識に車を運転している状態・夜寝る前のうつらうつらしている時・朝の起きぬけの状態などは、本人の自覚はないかもしれませんが、一種の催眠状態です。いつもやっていることなので、催眠に入りたい人はだれでもセラピストの誘導で催眠に入ることができます。すべての催眠は自己催眠であるとも言われています。催眠状態では、潜在意識にアプローチできますが、顕在意識もあり自分で自分をコントロールすることができます。つまり、やりたくないことはしないし、本人が望めばいつでも催眠からさめることができるのです。慣れてくると自己催眠の技術を使ったり瞑想・ヨガをすることによって、自ら催眠状態に入ることもできます。

このクリニックでできることは?

※婦人科漢方については「診療内容(漢方)」の項を参照されて下さい

その方の悩みにじっくり耳を傾けます。秘密厳守いたします。1.5時間のイメージ暗示療法・マインドフルネス枠、3時間または5時間の退行療法枠のいずれの枠でも、前半に心理カウンセリングをさせて頂きます。後半に行う各療法については下記の説明を参照されてください。

自律訓練法
ドイツの精神科医シュルツによって体系化された方法です。自己暗示によりリラックスした状態を体験していきます。

リラクゼーション
緊張の強い方にも対応するやり方を施行しています。必要な時にはいつでもリラックスした状態になるようにします。また、ご自分でも行えるように、やり方を伝授します。リラックスした状態では胃腸や生殖器にも十分な血流がいきわたり、慢性の緊張状態で起こりやすい胃腸の不調や婦人病に悩む方には特に有用です。

自我強化
英国の精神科医、ジョン・ハートランドが開発したスクリプトを元にしています。クライアントの、自分自身に対する信頼を強める暗示を行います。

自己催眠3Step法
Step1ではフランスの薬剤師であり暗示療法家であったエミール・クーエが用いていた万能の暗示を、Step2では自ら催眠に入るやり方を、Step3ではオリジナルの暗示文の作り方を伝授します。最低3回の来院が必要です。他のセッションと組み合わせて行うこともできます。

軟酥の法(なんそのほう)
江戸時代の禅僧、白隠禅師が残したイメージ療法です。禅師のご著書「夜船閑話」をご参照下さい。

マインドフルネス(サンスクリット語ではスムリティ、日本語では気づき・念)は元々、仏教の中で培われてきたものですが、近年、欧米では企業でのメンタルケアや教育現場にも応用される他、クリニックにおけるストレス低減法・心理療法としてもその有効性が知られるようになっています。過去を悩まず、未来を心配せず、「いま、ここ」に立ち戻るマインドフルネス。日常に活かすには、方法を学び訓練することが必要です。座る瞑想・歩く瞑想・食べる瞑想・横たわる瞑想など、頭の中の不必要な思考をストップさせ呼吸に集中するマインドフルネス瞑想を日常的に行うことによって、心に余裕をもって生きていくことが可能になります。当院の個人セッションでは、1.5時間の枠の中で心理カウンセリングと組み合わせて各種瞑想法(主に座る瞑想)をガイドさせて頂きます。また、併設スクールにてグループでも体験して頂くことが可能です(マインドフルネス講座「実践!マインドフルネス~いま、ここに生きる」)。

参考図書:「ブッダの幸せの瞑想」ティク・ナット・ハン、「マインドフルネスストレス低減法」Jカバットジン

年齢退行療法
幼い子供は潜在意識がむき出しの無防備な状態で生きているといわれます。幼少期に起こった出来事はそのまま潜在意識にとりこまれ、大人になってもなお根底で影響し続けます。大人の視点からみると大したことではない出来事も小さい子供にとってはショッキングなことがあります。今、困っている症状が一番最初にでてきた、その時の記憶に戻り、その状況・その時に感じた感情を再体験します。おぼろげに覚えていたことかもしれませんし、通常の意識状態では忘れさられていた、ごくごく小さい頃の出来事かもしれません。原因がわかるとその感情・記憶を手放すことのできる方もいらっしゃいますし、その原因の記憶をより大きな視点からみたり、自分の納得できるように生き直すことで、症状が解消される方もいらっしゃいます。なんらかの出来事がおこり引き金が引かれると、頭では何ともないとわかっているのに 苦しい感情がわきでてくるのを止められない方・身体の反応がでる方は一度ご相談下さい。

胎児期退行療法
お母さんのお腹の中にいた頃の記憶に戻ります。愛されていたということを思い出す方、胎児のころの出来事がトラウマになっている方、様々です。

前世療法
今、困っている症状が最初に起こった時に戻っていく療法を行っていると、今生の自分の幼年期や胎児期ではなく、さらに遡って前世・過去生の記憶に戻られる方がいます。前世の存在については議論のあるところではありますが、前世の記憶を確認することで、今困っている症状が改善していく例は多く報告されています(前世療法の世界的権威である米国の精神科医ブライアン・ワイス博士のご著書を参照されて下さい)。前世の自分が体験した大きな出来事や死の場面を感情を伴って見て感じ取っていきます。今、生きている意味がわからなくなっている方、人間関係・家族関係に悩んでいる方、理由のない恐れを持っている方等にも有効な方法です。自分が同じようなパターンを繰り返していることに気づくこともあります。今まで気づかなかった新たな方向性を見いだす方もいますし、自分を承認できるようになる方もいます。臨死体験と同じように生死の概念が変わり、人生に対して前向きに取り組む意欲がでてくる効果もあります。これからの今の人生をどうしていくのか、そのヒントが前世のストーリーには入っています。前世の存在、輪廻転生を信じていない方でも施行可能です。自分の潜在意識からのメッセージを伝えてくれる、自分オリジナルの物語・寓話としてお考えいただけます。
前世が本当に実在していたかどうかが大切なのではなく、そのストーリー、感情を体験することによって、本人の心・体・魂の状態が健康な方向へ向かうことが大切だと考えています。
(「ヒプノセラピーの対象になる方は?」の項の「※前世の存在は・・・」のくだりもご参照下さい)

悲嘆療法
大切な方と死別された方に。亡くなってもなお、胸の中に生き続けているその人ともう一度、潜在意識下で対話することで、自分の思いに一区切りつけます。流産や死産の経験のある方にもお勧めいたします。中絶した罪悪感にお悩みの方にもよろしいかと感じています(未妊・不妊の心理的なブロックになっている場合があります)。ペットを亡くされてその痛手から回復できていない方等にも対応します。前世療法等と組み合わせで行うことも多いです。

分身療法
いろんな自分がいます。例えば、禁煙したい自分としたくない自分、バリバリ仕事をしたい自分と子供が欲しい自分、などなどそれぞれになりきって対話していくことで自分の本心がみえてきます。一見困った状況を引き起こしている分身も、なんらかの意味では自分に貢献してくれているものです。それをしっかりみつめていくことで、新たな展開へとつながっていきます。

擬人化療法
自分が今困っている症状、あるいはその症状を呈している体の部分を、人にみたてて対話していきます。その症状が出た根本原因の心理的な側面が明らかになっていきます。

インナーファミリー療法
自分の心の中には幼少期の純粋な部分があり(インナーチャイルド)、それが傷ついたままであると絶えず不安定な感情に悩まされることもあります。自分のインナーチャイルドが今、どんな状況なのか確かめ、インナーチャイルドの思いを汲み取ってあげましょう。また、血縁の家族ではどうしても満たされない場合は、インナーマザー・インナーファザー等を想定することが有効です。より安定したこころもちで実際の人生を生きていくようになります。

各種恐怖症に対する脱感作療法
恐怖の対象になるものも、いろんな段階があります。例えば私は以前、鳥が苦手でした。鳥が近くにいる、その存在を感じただけで大きな不安に襲われたものです。しかし鳥の写真や鳥がテレビの中でさえずっている映像などは大丈夫でした。大丈夫なものから馴らしていく療法です。ただし、恐怖症については退行療法を行う場合も多いです。

自己実現法
GIFT(ゴールイメージフォーカシングテクニック)等。なりたい自分になるには、まずそのような自分を無理なくイメージできるかが重要です。潜在意識の中でなりたい自分をじっくり味わって、そのゴールにむかってどんなことをしていくのか、何か障害があるとしたらどう克服していくのか、その過程をもイメージしてリハーサルします。理想の自分と一体化した自分を、五感を使ってフルに味わうことで実現に向かっていきます。

このクリニックで出来ない事
一般内科・婦人科で行っている西洋医学的な検査はできません。漢方以外の薬物は処方しません。※ 漢方併用希望の方は別途予約要

注意して頂きたい事
精神科・心療内科などに通院中の方は主治医の許可が必要です(できれば紹介状をお持ち下さい。口頭での許可でも構いませんが、主治医に当方から連絡を取らせていただく場合がありますので、ご了承下さい)。退行療法については精神科や心療内科等で処方されるお薬を内服されている状況では難しい場合があります。お薬を内服されていて、かつ退行療法を希望される方は、最低一度、1.5時間の「イメージ暗示療法・マインドフルネス」枠で対応させて頂いてから、という流れになりますのでご了承ください。

ヒプノセラピーの対象になる方は?

心理・ストレスが関係していると考えられる疾患をお持ちの方(過敏性腸症候群、西洋医学で原因不明の慢性の偏頭痛・腰痛、月経異常、未妊・不妊症、更年期障害、肥満症など)。あがり症・対人恐怖症、閉所や高所など各種の恐怖症、不安の強い方、パニック障害等にも対応します。
その他、幼少期等のトラウマを解消したい方、ご家族との、あるいは職場での人間関係に悩む方、インナーチャイルドの癒やしに興味のある方、ただ単に自分の前世を知りたい方※、人生の目的がわからなくなっている方、近しい人が亡くなってその痛手から立ち直れていない方(流産・死産も含む)、お腹の中の赤ちゃんと対話したい方等、ご相談下さいませ。 

※ 前世の存在は科学的に完全に証明はされていませんが、存在しないことも証明できていません。多くの人の恐怖の根底には「死」への恐怖があると私は感じています。輪廻転生の世界を一度体験されることをお勧めします。また、前世の存在を信じていない方にも前世療法は施行可能です。イソップ物語などの教訓がちりばめられている物語としてお考え下さい。今を生きる自分に必要な気づきがその物語に入っています。 

「生殖ヒプノ(旧:子宝ヒプノ)」って何?

当院では、米国ヒプノファーテイリテイー財団が推奨する妊娠力アップのための3ヶ月プログラム(イメージ・暗示療法が主体)を、日本の環境に合わせ通院回数を少なくし、かつ退行療法を組み合わせて濃密にした独自のプログラム「生殖ヒプノ(旧:子宝ヒプノ)」として行っています。米国のプログラムは週1回、各1時間、合計12回の通院を要します(初回2時間)。ですが、日本では12回もの通院は難しいという現状があります。また、未妊・不妊の状況をつくり出している心理的なブロックは根深いものが多々あります。その中で成果をだしていくには、より深く潜在意識を探索しブロックになっているものを癒やしていく効果のある退行療法が必要となってきます。当院の「生殖ヒプノ(旧:子宝ヒプノ)」では、できれば3回、2~3時間のセッションを1ヶ月内を目途に受けていただき、その後はそれそれの方の状況に合わせご相談の上、最低3ヶ月フォローしたいと考えています。たとえば、さらに退行療法を重ねたり(2時間)、妊娠をうながすメタファー等を用いたイメージ暗示療法に切り替えたり(この場合各1.5時間)、ご自身でリラックスした体の状態を保つための技術(自己暗示の方法やストレスを軽減する方法等)を学んで頂いたり、胚移植の際のイメージリハーサルを行ったり(各1.5時間)いたします。
当院併設スクールで随時開催される「ストレスからの解放講座」に参加されても、ストレスマネージメント・リラクセーションの方法は学ぶことができます。

心理的なブロックになっているものは様々です。若い頃の中絶の体験、自らの誕生・生育にまつわる出来事、兄弟の誕生・生育にまつわる出来事、母親との関係性、身近に妊娠・出産で苦労した人の経験を見知っている場合、マスコミや医療関係者からの暗示、周囲からのプレッシャーなどなど、頭(顕在意識)では解決済みで問題ないように思われることであっても、無意識のブロックになっていることがあります。また、前世の存在は議論のあるところですが、前世での出来事を引きずっているように思われる方もいます。また、未妊・不妊の問題以前に配偶者とのパートナーシップに問題のある方も多くみられます。そして、基本的に不妊の原因は男女ともにありますので、男性側の要因もチェックしておく必要があります。なお、当ホームページ「よくある質問」の「3.妊娠する期待をふくらませるのがこわいです」「4.なぜ「子宝ヒプノ」から「生殖ヒプノ」に変更したのですか?~「生殖ヒプノ」のめざすもの」の項も是非ご一読下さい。

「生殖ヒプノ(旧:子宝ヒプノ)」は多くの場合西洋医学的な不妊治療やその他の代替療法と併用可能で、自然妊娠を望む方にも、体外受精の成功を望む方にもご利用可能です(投薬内容によっては退行療法が行えない場合がありますので、事前にお薬の名前・飲み方をお知らせ下さい)。 

また当院では漢方診療も行っており、その中でも不妊の問題についてご相談を承っております。東洋医学では冷え・ 瘀 血が未妊・不妊に大きく影響していると考えられています。生殖器だけではなくて身体全体の調子を整えることが大事です。漢方診療枠では、漢方だけではなくて、食養生や運動療法・リフレクソロジーなどの代替療法の視点からも随時、アドバイスさせて頂いています。

米国ヒプノファーテイリテイー財団のプログラムでの妊娠率は公式には発表されていません。当院の「生殖ヒプノ(旧:子宝ヒプノ)」は妊娠率をだすにはまだ人数が集まっていません(今までに退行療法を行った12人の方とイメージ・暗示療法を行った8人の方から妊娠の報告をいただいています。その中で、ヒプノセラピーと漢方を併用したお二人については、ご了承を得た上で、2015年11月、日本東洋医学会九州支部総会で「漢方とヒプノセラピーの併用が有用であったと考えられた不妊症の2症例」というタイトルで学会発表させて頂きました)。

また、当院とHORACグランフロント大阪クリニックとの共同研究、不妊症に対する臨床催眠療法「生殖ヒプノ」研究については、2018年~2019年に学会発表ならびに学術論文誌への投稿という形で公表しました。「講演・学会発表・論文などの活動紹介」のページをご参照ください。

文献上では、イメージ・暗示療法を含むグループ療法での妊娠率は対照と比べて3倍にのぼったという報告(参考文献1)や、体外受精の移植の際に催眠療法を用いることによって着床率が53%になった(対照30%)(参考文献2)という報告があります。西洋医学的な検査では原因不明の不妊の方、なぜか着床しない、という方には特にお勧めです。

参考文献1)Hosaka T, et al: Effect of psychiatric group intervention on natural-killer cell activity and pregnancy rate. Gen Hosp Psychiatry 24:353-356, 2002 2)Levitas E, et al: Impact of hypnosis during embryo transfer on the outcome of in vitro fertilization-embryo transfer: a case-control study. Fertility and Sterility 85:1404-1408, 2006